押し入れの反乱と、ビジネスホテルの夢――アラ還男と愛すべきガラクタたち

生き方・ライフスタイル
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こんにちは。
「アラ還個人事業主のほぼ引きこもり日記」の雅栄(がえい)です。

私は一日の大半を、自宅という小さな城で過ごしています。
城といっても、堅牢なのは壁だけで、中身はどうにも心もとない。

部屋の景色は、そのまま私の心の景色です。
晴れやかな日は少なく、だいたいは「まあ、こんなものか」という曇り空。
その原因の一端を担っているのが、我が家に潜伏する“彼ら”――つまり、捨てそびれたモノたちです。

今日は、その静かな攻防の記録です。

仕事部屋の平和条約

自分では、物欲に溺れるタイプではない……と思っています。
少なくとも、仕事部屋だけは。

集中力を保つために、かつて大量の本を手放しました。
本棚に風が通るようになったとき、「ああ、これが文明開化か」と本気で思ったものです。

今は「五十冊たまったら売る」という、自分なりの平和条約を締結しています。
おかげで表向きは、なんとか秩序が保たれています。

しかし、それはあくまで“表向き”。

押し入れの扉を開けた瞬間、私は敗戦国の代表になります。

レコードプレーヤーの視線

中学一年生の頃、なけなしのお小遣いを握りしめて買った、小さなレコードプレーヤー。
もう何年も針を落としていません。

それなのに、彼は埃をまといながら、じっとそこにいる。

「まだ捨てないよね?」

そんな声が聞こえる気がするのです。
もちろん、実際に喋るわけではありません。けれど、あの無言の圧力は、下手な営業電話より強烈です。

学生時代の漫画や推理小説も同じです。
『ドカベン』に『タッチ』、横溝正史に赤川次郎。

「いつか読み返す」

その“いつか”が来ないことは、たぶん私が一番よく知っています。
彼らはもう物語ではなく、私の過去を証明する重たいアルバムのような存在なのです。

貧乏性という名の弁護士

いざゴミ袋を広げると、必ず現れる人物がいます。
名を「貧乏性」といいます。

「まだ使える」
「もったいない」
「そのうち役に立つ」

実に理路整然とした弁護を展開してくれるので、私はすぐに心が揺らぎます。
気がつけば、ゴミ袋は空のまま。
モノたちは再び、押し入れへ帰還するのです。

どうやら私は、説得に弱い性格のようです。

ビジネスホテルの夢

それでも、憧れはあります。

ビジネスホテルのシングルルーム。
必要なものだけが、静かに、正しい場所に収まっている空間。
あの潔さに、いつも胸を撃ち抜かれます。

「ゆるミニマリズム」

私は勝手にそう名付けました。
完璧な聖人にはなれなくても、せめて足の踏み場くらいは守りたい。
そんな、いかにも私らしい、控えめな革命です。

🔑 人生の荷ほどき

片付けというのは、モノの問題でありながら、どうやら人生の問題でもあるようです。

いつか本当に一人になったとき、
この山のようなガラクタたちと、真正面から向き合う日が来るのでしょう。

それまでは、無理をせず、少しずつ。

レコードプレーヤーに小さく会釈しながら、
今日は漫画を三冊だけ手放してみようか、と考えています。

「こんな私でも、何とか今日も生きている。」

押し入れの扉は、今日も静かに閉じられました。
次の反乱が起きる、その日まで。

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