あの日、震える声で叫んだ自分へ――飛び込み営業の大失敗が残したもの
こんにちは!
アラ還個人事業主として、自宅でコツコツと仕事をしている雅栄(がえい)です。
サラリーマンを数十年続けていると、一つや二つ、思い出すだけで「うわぁぁ!」と叫びたくなるような恥ずかしい失敗があるものです。私にとってのそれは、若き日の飛び込み営業での出来事です。
もともと私は、知らない人に自分から話しかけるのが苦手なタイプ。そんな人間にとって、アポなしで企業を回る飛び込み営業は、苦痛以外の何物でもありませんでした。
逃げ出したかった、ビルのエントランス
当時は、営業先のビルに入っても一軒も回らずに出てきてしまうことも珍しくありませんでした。受付で「担当の方は不在です」と言われると、仕事としてはダメなのに、心のどこかで「あぁ、会わなくて済んだ」とホッとしてしまう。
そんな後ろ向きな姿勢では、当然、結果も出ません。 「自分にはこの仕事、根本的に向いていないんじゃないか……」 そう思いながらも、会社員である以上、やめるわけにはいかない。そんな葛藤の毎日でした。
忘れられない、冷や汗の「社長呼び出し」
そんなある日、当時の上司から「度胸がないんだ!もっと派手にいけ!」と喝を入れられました。「いいか、受付でデカい声で『社長いらっしゃいますか!』って言ってみろ」と指導されたのです。
20代だった私は、「そういうものか」と真に受けてしまい、ある訪問先で言われた通りに叫びました。すると運悪く(?)、本当に社長が出てきてしまったのです。
社長は怒鳴るわけではなく、とても落ち着いた、冷たいほど冷静なトーンでこう言いました。
「アポイントもなしに訪ねてくるのは失礼ですよ。私があなたに時間を使う理由は? 急に来たあなたに、私の時間を差し出す理由がどこにあるんですか?」
社員の方々が働いている目の前で、淡々と論破される屈辱。 「すみません、失礼しました……」と蚊の鳴くような声で謝り、逃げるように会社を出ました。あの時の青ざめた自分の顔、そして背中を伝う嫌な汗の感触は、今でも忘れられません。
「ダメなものはダメ」と認めたあの日
この一件で、私はようやく目が覚めました。 「飛び込み営業みたいなやり方は、自分には絶対にできない。無理だ」と、腹の底から納得したのです。
でも、それは営業を諦めることではありませんでした。 自分を殺して無理に押すのがダメなら、逆にお客さんから「相談したい」と言ってもらえるような引く営業を本気で考えなきゃいけない。そう思わせてくれた、大きなきっかけだったのです。
あの大失敗は、決して良い思い出ではありません。 でも、あの時、自分のダメな部分と正面から向き合ったからこそ、今の自分の身の丈に合った働き方があるのだと思います。
今、静かな部屋で珈琲を飲みながら、あの頃の自分を思い返すと、「まぁ、あの大失敗があったから、今の穏やかな暮らしがあるんだな」と、少しだけ許せるような気がしています。

